模擬評価演習
期待した役割を示していない無意味な数値目標
あなたはどう評価しますか?
5段階(S,A,B,C,D)でお考え下さい。B:及第点
設定目標 | 実績(結果) | 評価 |
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後輩の営業同行 平均月3回 (背景情報) 上司(評価者)が期待したのは、忙しい自分に代わって自課の若手メンバーを育成してくれることだった。 |
今期は平均2.9回 ・後輩達は目覚ましい成長を遂げた。 ・後輩達は全員売上目標を達成した。 ・あえて同行せず、訪問前日にロープレをしたり、後輩が作成した準備資料のチェックをしていた。 |
? |
実際の考課者研修では多くの方が”A"と答えます。
上司の期待以上の働きをしてくれたのですから”B:及第点”以上は納得感ありますね。
しかし、目標(同行3回)に対しては実績(2.9回)は未達成です。
受講者の方に「Aと評価した根拠はなんですか?」と質問すると、「未達だけど、部下が成長したし、売上目標も達成したから」という回答が多いです。
でも、設定した目標とその達成度で評価するという原則をないがしろにして、未達成だけども後付けの根拠(成長や目標達成)を加点して評価してしまっていいものでしょうか?
このような評価が横行すれば目標管理は形骸化してしまうことが予想されます。そして後付け評価はどんどん各自勝手な拡大解釈がはじまり、最後には目標は達成していないけど「彼の子供が今春私立に入るからAをつけてやろう」などともなりかねません。
目標管理の評価の原則に戻るならば、後輩を効果的に育成するために「あえて同行しない」という行動事実を同行1回以上とみなすことができるかもしれません。そうすれば目標(3回)に対し実績(3.9回)になりますので目標達成と評価できます(考え方①)。
今日の目標管理の狙いは「役割期待」にあります。特にホワイトカラー職の仕事は複雑かつ不定形になっています。単に発揮能力では評価できないし、結果だけをみて評価するのも不適切だし、ということで目標管理の運用が再考されています。各自が「自らに期待されていることは何か」をよく考え、上司と「役割期待(自らが貢献すべきことは何か)をすりあわせ」、目標として設定することが大切です。
当ケースでは、そもそも同行3回という目標自体が上司の期待に沿ったものではありませんでした。評価面談のときに「そもそも私(上司)があなたに期待した役割はなんだしたか?」と目標設定段階までさかのぼり、二人で「期待した(された)ことは育成だった、後輩たちがどのレベルまで育てば及第点だったのか」を再度確認して合意形成できるならば目標を修正し、本体の目標である「育成目標として評価することも運用的にはありかもしれません(考え方②)。
このように期待した役割を示していない意味のない数値目標は本当に多いです。
訪問回数・ミーティング回数・提案件数…etc。
上司は本当に部下に対して何を期待しているのか伝えているのでしょうか?
そもそも対話自体がおこなわれているのでしょうか?
是非貴社でも今一度目標管理シートを点検してみてください。